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「どんな格好をしても、所詮私は私だとは思うんですけど」
この前、『モナちゃんはモナちゃん』だってうまく褒めれなかったことを気にしてるのか、そう前置きして言いにくそうにしていた。
「や、違うって。だから、本当にどっちでも可愛いって。もちろん、俺のために頑張ってくれたのは嬉しいし……」
「はい。でも、旅行はやっぱりいつもより頑張ってしまうと思うので、『こいつ、いつもより気合い入ってるなあ』と、思われても恥ずかしいし」
「……や、俺、そんなこと思うと思われてんの」
モナちゃんはチラッと俺を上目遣いで見ると、覚悟を決めたように言った。
「変な方向に間違えたら恥ずかしすぎて死ぬので! 伸之さんの言うとおりにします!
どんな下着が好きですか!? 」
俺は緊張で声のデカくなったモナちゃんの口を慌てて塞いだ。
「ちょ、モナちゃん、店、店だから」
「だってえ、脱がされた時に気合い入り過ぎだろって引かれたらやだー……」
と、今度は消え入りそうな声で言った。脱が……!? すけど。
ああ、びっくりした。息を整えると
「普通でいいよ、普通で」
「どうせ脱ぐから?」
「……そう、だけど」
ヤバい。これ、俺が恥ずかしいわ。
「今着けてるのとかでいいって」
「今ですか? 黄色の英字プリントですけど……」
どんな柄、それ。
「わあ。何でもいいよ。あー、どうでもいいってことじゃなくて。とにかく、なんて言うか……俺に任せて」
と、笑顔を作った。
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