vol.4

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「法子ちゃん、久しぶりだな」 その声に振り向くと、少し視線を上げ、そこから更に視線を上げた。規格外の体は母校の制服を着ていた。 「また背が伸びたんじゃない?」 そう言った後に、挨拶も返してなかったと気付き「裕くん久しぶり」と、付け加えた。 「うん、なあ。もう義仁よりでかくなった」 裕くんは複雑そうに、相変わらず綺麗な目で笑った。……格好いいなあ。それと、もう何十回と思ってきたけれど、義仁と似てないな。 「制服のサイズ、あるんだね」 「……まあ。割高で……」 「あっはは! 生地がね、ふんだんに使われてるから」 おかしそうに笑う私に歩幅を合わせて裕くんが歩いてくれる。家の方向が同じだから。“じゃ”とか言わずに一緒に帰るらしい。こういうところは、義仁に似ている。 裕くんは私の同級生、大友義仁の弟だ。兄の友人てほどでもない顔見知り程度の私にもこんな感じで、しかも中学生からしたら高校生なんて声を掛けにくいだろうに。そろそろ恥ずかしくないのかな?そんなお年頃だと思うんだけど……。 そんな、一般的な発想はないのだろう。大して共通点もない私と歩く一時だって、楽しい時間に変えてくれた。明るい子だなぁ、裕くんは。 「んじゃね、法子ちゃん」 裕くんは大袈裟に手を振って帰って行った。 ほんっと、似てない兄弟だなあ。しみじみとそう思う。……裕くんの方が、格好いい。正確には、どっちもものすごい格好いいんだけど。あとは単に好みの問題だ。
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