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「法子は相変わらずだな」
義仁はそう言って、私の前から他の子のところへ向かって行った。義仁も相変わらず何を考えているのか、読めなかった。
義仁が誰かと話してる声が意図せず聞こえてしまった。
「法子、相変わらず綺麗だったわ。彼氏いるのかな?」
「さぁ。どうだろ。法子だしな」
と、聞かれた人は返事した。
……相変わらず、綺麗だって言ったの?信じられない。それより、彼氏がいるかどうか、どうして私に聞かないの?呆気に取られ、義仁を見たけれど、私の視線に気づくことなく他の話題に移っているようだった。
尚信と真知子の事だって本人に聞かずに私に聞いてきたのだ。単に会話の糸口だったのかも。私との会話の糸口に尚信と真知子の話題。向こうの会話の糸口に私の話題。
それだけのことなのに、動揺しちゃって、馬鹿馬鹿しい。
幼なじみというのは、無理に続ける必要はないと思う。だけど、家が近いとか、親同士が親密であるとか、そんな理由に助けられていたのも事実だった。私は、容姿に恵まれたらしい。自分ではどうしようもないところだ。それが、良くない方へ働いた。人の関心を集め、私をよく知らない女子は、はなから好意的でない視線を向けた。
そして、目が合っただけで睨まれたとか、目を逸らすと無視されたとか陰口を言うようになった。
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