vol.4

8/37

1118人が本棚に入れています
本棚に追加
/192ページ
私たちは高校を卒業して大学生になってもこの年に数回会うだけの関係は続いた。うまく話せてるかはわからないけど、他の子にも義仁にも自分から話しかける努力をした。 裕くんは国内の高校へ進学したらしい。義仁と同じように国外へ行くのかと思っていた。朋子ちゃんと同じ高校らしいけど、二人が並んでいることはもう滅多に見なくなった。……そうだよね、もう高校生だもん。いつまでも一緒にいないよね。 やがて、私たちが就職活動をする頃、裕くんも大学は義仁と同じようにイギリスへ行くと真知子から聞いた。正確には、真知子のお母さん経由で聞いた。 ついに、大友兄弟は日本にいなくなってしまう。子供のために日本に来たと聞いた。その子供が海外へ行くのなら、おじさんとおばさんもここの家を売って、裕くんについていくかもしれないなぁ……。 そしたら、もう私たちが集まる理由もなくなるんじゃないか。そんな風に思うと、寂しいと思ってしまう。 でも、仕方がないことで、みんなどこかで別々の道を選ぶのだから。一年に数回会うのが一回になり、数年に一回になり、やがて、偶然でしか会わなくなるのだろう。柄にもなくそんなセンチメンタルに襲われていた。 それはそうで、真知子も尚信も社会人になると家を出てしまったし。朋子ちゃんも大学からは九州に行ってしまう。大人になるって、そういうことだ。
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1118人が本棚に入れています
本棚に追加