vol.4

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私の中で『いつもの幼なじみメンバー』に義仁を入れることをすっかりと忘れてた。そうか、義仁って彼女いないのか。 「って、義仁が彼女いないのなんか関係ないよ」 「……何でよ?」 「だって、義仁でしょ? 義仁なんて、今この間にも恋人くらい出来てそうじゃない」 「あはは! わかるわかる。義仁に彼女いないって言われてもはいはい、特定の彼女いないだけでしょって思っちゃうよねぇ」 ケタケタ笑う真知子を尚信が「おい」と肘でつついて嗜めた。 「そんなことないって、結構純粋でピュアな奴だよ」 純粋もピュアも意味は一緒だ。尚信はフォローに焦ったのだろう。 「うーん。でも、義仁はいいや。私の人となりを知ってるとは思えないし、私も他愛のない話しかしたことないから、よくわからないんだ。お互いに外見しか知らないなら、敢えて義仁に行く意味がないもんね。実家が近いくらいだね、メリットは。私、男友達もそんなにいないから難しいなあ。今から作ればいいのかな? 友達から始める……」 「法子は男子と友達になるのは難しいね」 「うん、愛想ないからなぁ、私」 「じゃなくて、法子を見た男子はもう目がハートになっちゃって、友達になれる心境じゃないと思う」 「あはは、まさか! 真知子って、ほんと面白い。ねえ、尚信」 「あー……そう、かな?」 尚信が複雑そうな顔をした。それから、ハッとした顔で 「そうだ、義仁、こっち帰ってくるかもしれないって」 そうか、お正月だもんなぁ。また集合かかるのかな?と恒例の行事を思い浮かべていた。
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