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「お正月だもんね。いつまでいるのかな?
私、今年の休みちょっと短くて、会えるかな」
「や、違うって。ずっとこっちにいるかもって。まだ決定じゃないけど、そろそろ落ち着きたいって言ってた。やっぱ日本かなぁって」
そっか。疎遠になると思ってたけど、そこまで疎遠にならないのか。
「まあ、日本も広いもんね。朋子ちゃんは帰って来てこないの?」
「うん。彼氏もあっちだしね」
「彼氏、九州の人なんだ?」
「ちがーう、こっちの子で高校から付き合って一緒に九州に行ったの。あ、これは秘密ね」
「……え、そうなんだ。朋子ちゃんはてっきり裕くんと付き合うのかと思ってた」
「ねえ、私も」
「……俺も」
「お正月の初詣は毎年一緒に行ってるのよ、朋子と裕くん」
「「……」」
「そっか。男女って難しいね」
「そうだね」
「あ、私が裕くん狙っちゃおうかな。三つ下くらい、全然……」
真知子と尚信の顔が酷くひきつったので、私は慌てて否定した。
「冗談よ、冗談だってば!」
「法子、裕くんのこと格好いいって言ってたし」と、真知子が告げ口する。
「え、マジ!?」
「格好いいでしょ!? 裕くんは格好いいじゃない。別に、合ってるじゃない!」
「……まあ、合ってるけど、リアルな存在なだけに、疑ったわ。法子もそんな俗っぽいこと言うのは意外だった」
尚信が目を細めて、私は焦って言い訳を続けたのだった。
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