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──それから、直ぐに集まる機会があった。
いつもの居酒屋だ。みんなの家から近いという点が考慮されている。なんせ、心置きなく話せる人たちだから長くなるのだ。
「法子、久しぶり。元気だった?」
「うん。義仁は?」
珍しく、義仁は私に一番に声を掛けてきた。
「元気。なーんか、会うたびに久しぶりって言ってるな」
「そりゃあ、そうでしょ。滅多に帰ってこないんだから。距離もあるしお金もかかるもんね」
「帰ったら絶対に会ってるんだけどな」
「……へえ」
そうなんだーっと思って義仁を見ると、にっこり笑う。何だろうと眉寄せると、
「俺さ、そろそろこっちに帰ってこようかと思って」
「……そうなんだ」
尚信の言ってたの、本当だったんだなと思っていた。
「だから、『久しぶり』なんて言わなくて済むね」
「うーん……家近くてもそんなに会わないもんだよ。結局、こうやって集まるのはたまーになんだから」
「俺が会おうって言うから、うんって言ってくれたらいいじゃん」
「……そんなにしょっちゅう集まらないってば」
義仁は何かを考えるようにぐるりと眼球を動かした。近くで見ると、グレーっぽく見える瞳はつい近くで覗きこみたくなる。義仁は真っ黒じゃない髪も虹彩も相手に優しい印象を与える。
いくら昔からの知っていても、魅入ってしまう。これが義仁なんだなぁと見つめてしまう。
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