1118人が本棚に入れています
本棚に追加
/192ページ
「法子、恋人はいる?」
話が飛ぶなぁとは思ったけど、私は質問に答えた。
「いないよ。誰か紹介してくれるの? ちょうど、募集中なの」
「OK、じゃあさ……」
「あ、前から思ってたんだけど、義仁は英語話す時、日本語よりちょっと声のトーンが高くなるね。みんなそう?」
「……そう、かもしんないけど、ちょっと黙って」
「うん。紹介ね。ありがとう」
「……条件は?」
「条件? 相手の? そうね、」
言いかけて気づいた。昔からの知ってる相手なんて、義仁と共通で紹介してもらうまでもなかった。
「何?」
「えっと、昔からというか、私をよく知ってる人って思ったんだけど、いいや。新しく出会って、知ってもらう努力をするよ。なので、特にないかな。誠実であれば」
「了解。じゃ、連絡する。自分で探したりしないで。わかった?」
「……わかった」
自分から探したりしないでって尚信にも似たようなこと言われたな。みんなから見て、私ってどう見えてるのだろう。結局、義仁が何を言いたいのかわからなかった。
そう言えば、義仁から『恋人はいる?』って直接聞かれたの、初めてだな。確か、義仁なりの会話の糸口だったはず。
義仁の何とも言えない顔は、この前の尚信と真知子の表情と同じで、私はまた何か変なことを言ってしまったのだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!