vol.4

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大晦日、家の固定電話が鳴った。電話を受けた母親の声が弾んでる。不思議に思うと、電話の主は義仁だった。 『法子、今から出てこれる? 初詣に行こう』 「今から?」 『そ、今日はずっと電車動いてるんだろ?』 「ああ、二年参りね。わかった、行く。準備するからちょっと待ってね」 『じゃあ、15分後に法子の家の前で待ってる』 母親にもそう伝えると、上機嫌だった。良い年の娘が家にいるより、例え幼なじみだとしても、男子と出掛けた方が健全だと思ってるに違いなかった。 他に誰か来るのかな。寒くないように厚着をして外に出るとそこには既に義仁がいて、一人だけだった。義仁の背後へと視線をずらしたが、 「俺だけ」と苦笑いされてしまった。 「寒いね。裕くんは朋子ちゃんと毎年初詣行ってるんだってね」 「そう。大友家と和田家全員で毎年行ってたのを律儀に守ってる二人。と見せかけて……会いたいんだろな、あの二人も」 「朋子ちゃん彼氏いるんでしょ?」 「うん。裕もいんじゃねえ? 真知子なんて彼氏出来てから絶対来ないしな。俺も邪魔する気はないし。要は行く気があるかないかだよな」 「そっかあ」 としか言えなかった。 「俺は法子と行けばいいしね」 義仁がにっこりと笑う。 「毎年? 」 「そう」 「やだよ。私も一抜けしたい」 「だから、二人で抜けるのはどう?」 私は足を止めて義仁を見つめた。義仁はただ、にっこり笑っているだけだった。
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