vol.4

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「タイミングの話だけど、学生の頃に法子に恋人がいなかったとしても今じゃないって思ってた。全然会えないのに恋人関係を維持するは自信がなかったし、もし別れてしまえばやり直す方が難しいと思って。お互い環境が整って、適齢期であること。それがタイミングだと思って……たんだけど……。法子に恋人がいるかどうかは気になるから、いつも誰かに聞いてた。聞いてしまうというか……。それに、『いる』って言われたらどんな顔していいかわからないから法子本人には聞けなかった」 「……義仁、そんな前から私のこと好きだったの?」 義仁がカッと顔を赤くした。 「あのなあ。知らないのは法子くらいのもんだよ」 「嘘でしょ。今、私がフリーだから、たまたまそんな気持ちになったのかと思ってた」 「今まで何の集まりだと思ってたんだよ」 「何の? 何のって……ええ、みんなで集まってたのって、あなたの仕業だったの?」 「……仕業って、法子。ほんと酷いな」 「どうりで、予定が合わなくても絶対に合わせてくるの。なんて団結力のあるグループなんだろうと思ってた」 「あれは、俺を応援する後援会だ」 「人、人を……巻き込みすぎでしょ、義仁」 「だって、二人で会うのはまずいんだもん。タイミング待ちだったから。でも会いたいし。もちろん皆にも会いたいし。俺、ずっと法子のこと、好きだって言いまくってたよ。最初は笑ってた皆も最近は苦笑いで、ここ最近は同情されてたね」 私は信じられない気持ちでパチパチと瞬きを繰り返した。
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