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「先ずは荷物置くか」
私は、義仁の家に泊まることになっていた。もちろん、部屋があるからだ。でもいいのかなって気持ちにもなる。
いいよね、だって、だって私は義仁のことを振るつもりがないのだから。この頃には私も、この先のビジョンには義仁がいた。
義仁の部屋は古いけれど手入れをされてるのがわかる素敵な空間だった。街全体に統一感がある。
「座って」
義仁は私をソファに促した。腰を下ろすと、今までより近い距離に、義仁もそのつもりなのだと思う。
「先に言っておくけど、ここにいる間は同じベッドを使いたい。法子はどう思う?」
これは、恋人になろうということなのだと思う。私が保留してきたことだ。
「うん、私もそうしたい」
義仁の顔がパッと綻んで、私をぎゅうぎゅうと腕の中に押し込めた。
「今日から恋人ってことだからな。もう遠慮しないから」
「でも、さっき友達に私のこと友達だって紹介したのよね?」
「……いや、girl friendって言った」
恋人って意味だったんだ。さっきまでは恋人じゃなかったじゃない。OKするって確信があったのね。
「義仁って、やっぱり」
待って、友達だって言われて落ち込んだくせに、今度は自惚れって怒るの?自分の感情がままならないからって、義仁に当たるのは違うじゃない。私は息を吐いて、呼吸を整えた。そして、素直な感情だけ伝えることにした。
「やっぱり何だよ」
「振られたことがないのね。私も、あなたのことが好きだもの」
義仁は嬉しさを堪えきれないように私を強引に抱きしめた。
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