vol.4

27/37
前へ
/192ページ
次へ
熱ぽいキスが続き、私は生理的な涙が滲んだ。 「義仁、苦しい、ねえ」 「今、我慢出来ると思う?」 「何年も出来たんだから、あと数時間くらい出来るんじゃないかな」 って、言ってしまったんだけど、義仁の腕は私の服の境目を見つけると、そこから入って来た。素肌に触れる手が熱くて、ひゃっと声を上げてしまった。 「ほら、時差ボケにならないうちに愛を確かめ合った方がいいと思わない?」 「その丸め込むのやめなさいよ」 そう言ったけど、義仁は耳元で小さく「我慢出来ない」と溢した。 結局、ベッドを一緒に使うまで待てなくてソファへなだれ込んだ。だって義仁はすごくキスが上手だったから。 「長かったー」って義仁は言ったけど、私は義仁のことを知っていたのに、よく知らなかったから、もったいないような気持ちだった。でも、これがタイミングならきっとベストなのだろう。 「今度は夏に帰ろうかな。尚信と真知子の子供産まれてる?」 「予定日8月だって。ギリギリ会えないかもね。そしたらお正月になるのかな? 」 「そっか。急でびっくりしたけど楽しみだな」 「そうよ。お正月に会った時にはお腹にいた計算なんだってさ。2ヶ月」 「へえ、2ヶ月?」 「あ、そうそう。妊娠週の数え方がね……」 「今、俺たちの子供が出来たらいつになるの?」 「……」 生々しいのでこの会話はやめることにした。
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1119人が本棚に入れています
本棚に追加