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義仁は顔立ちが上品だからにっこり笑ってるのだと思ってたけど、これ、ニヤニヤしてるんだ。
すごく余裕があって大人の微笑みみたいなものだと思ってた。そうか、単に顔が緩んじゃってたのね。
「一つ、あなたの事を知れたわ」
「ええ、そこか?」
「うん」
「で、また気持ち悪いって言われんの?」
「あはは、ごめんってば。だって、すごく驚いたんだもの」
「だからってなぁ。俺の、」
「俺の、純情でピュアな気持ち?」
「……何だ、その変な日本語」
「あはは」
私は、にっこりニヤニヤしている義仁の胸に飛び込んだ。義仁が愛おしそうに、私の頭に顔を擦り寄せた。ほら、やっぱり。ちゃんと私と同じように鼓動が早くなってる。
くっと顎に手を添えて上を向かされると、ずっと我慢してた分のたっぷりのキスを受け取ることになった。
今日は出掛けるつもりはないのだろうか、そう聞きたいけれど、このままでいたい気もして、私は黙っていることにした。
今まで離れていてよく平気でいられたものだ。一度こうなってしまえば、目が合えばキスして、どこかは必ず触れているくらい近づいて、彼のどこが嫌だったのか、どう探しても見当たらなかった。
私が義仁を受け入れたことで、更に自信に満ち溢れた人になってしまったけれど、うーん、弱点などないのだろうこの人は。
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