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義仁は気取らなくても、素敵になってしまうのだ。とても私たちらしい結婚の決め方だと思う。
ホテルの食事もホテルの部屋も、私のイメージするプロポーズに相応しい場所だったけど、ここまで待てなかったんだなと思うと、やっぱりそれも義仁らしいと思ってしまうのだ。
「来年、こっちに完全に帰るけどしばらくは実家に住むからこうやってデートしような、法子」
「家はどうするの?」
「もう一緒に住むからな、法子も希望があれば言って。仁さんに頼むとすんごい家選んで来そうだから、年明けまで慎重に事を運ぼう」
と、深刻に言うものだから笑ってしまった。
「仁さん、仕事早すぎるんだよ」
「わかる気がする」
想像出来てしまってまた笑う。
「仁さん、喜ぶよ。相手が法子だって知ったら」
「そう? 朋子ちゃんの方が喜ぶ……あ、違うわよ、裕くんと朋子ちゃんがくっついたらってこと」
「ああ、まあ、朋ちゃん大好きだからな、あの人。んでも法子のことも可愛い可愛いうるさかったぞ?」
「……そうなの。面白い人ね」
「うん。親戚になるんだから、よろしくね」
「あはは、楽しそうね」
「なぁ、もう一泊しない?」
「もう。義仁ってば、今来たばっかりじゃない」
「そうだなぁ。早く『久しぶり』なんて言わない距離になりたいな。こうやって会ってすぐに離れる事を考えずに済むように」
「もうすぐよ」
私は義仁の額にかかる髪を避けて、軽くキスをしてそう言った。
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