vol.4

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義仁はそれに安心するように目を閉じた。 「法子といると、安心する」 「うん。私も。どうしてもっと早くこうしなかったのか不思議なくらい」 義仁は目を閉じたまま、幸せそうに笑うと「Now is the time」と言った。 「そうね、完璧なタイミングだった」 義仁の規則的な呼吸が聞こえると私も寄り添ってそう言った。多分、彼はこうやって何度も時差ボケの最中みんなに集まってもらったのかと思うと、全然スマートではないけど、それがまた愛しいと思う。 今ならその不器用さも義仁らしいと思う。みんなと会いたかったというのも嘘じゃないと思う。義仁と付き合うようになってから、真知子から聞いた。真知子が真知子のお母さんから聞いた情報だ。 大友家がここへ住むようになったのは義仁と裕くんにストレスからチックが出たからだって。二人ともそんなの全然わからないくらい明るくて人懐こいけど、しばらくは人に対して執着心を強く持っていたって。人と別れるのに馴れているようで、嫌がったらしい。 居場所があることに安心するって。だから、昔からの知ってる私たちに安心感を覚えるのはそのせいかもしれない。 本当のことはわからないけど、義仁が私といると安心してくれるのはとても嬉しい。 でも、やっぱり……もう少し早くこうしたかったな。 「損しちゃった」 穏やかな寝息に私もいつの間にか眠りについた。
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