vol.4

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──お正月。 ビシッとスーツを来た義仁が我が家にやって来た。 「どうしたの?」 「どうしたのって、結婚の挨拶」 「いいのに、今さらスーツなんて」 「似合わない?」 「いえ、すごく素敵」 「へえ、裕とどっちが格好いい?」 首を傾げてそう言うものだから、困った。そこだけ玄関まで出てきた母親に聞かれて、母親は声を出して笑った。 元々の顔見知りだったから結婚の挨拶は穏やかに済んだ。親同士が仲がいいのだから何も心配することはなかった。お互いの実家が近いということは遠くに住まないだろうと、父親も上機嫌だった。 私たちはそのまま義仁の家に挨拶に行った。そこでも歓迎され、実はさっきまでそこに朋子ちゃんもいたと聞いて、知らずにニヤニヤしてしまった。 「ねえ、もしかしてそういうことなの?」 「なあ。朋子ちゃんこっち帰ってくるんだって」 「恋人は?」 「別れたらしい」 「タイミングってあるものね」 私は得意気に言ってみせた。 「長い付き合いになるね、法子ちゃん」 と、なぜか叔父の仁さんに握手された。ふふ、こういうところも裕くんに似てる。 「あれ、そう言えば裕くんは?」 「午前中に朋ちゃんが忙しくしてたら拗ねて帰っちゃった」 「……本当?」 「本当なんだって」 「あ、朋子ちゃんは、真知子実家に赤ちゃん連れて帰ってるから忙しいんだね」 「そうそう、俺たちも行こうか」 私たちはこの日、三軒目の家へ向かった。
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