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────初夏。
もうすぐ義妹になる朋子ちゃんは
「義くんにどんなプロポーズされたの? 」
と、聞いてきた。
ここは、勢ぞろいの大友家のリビングだった。全然似てないイケメン兄弟はペラペラと私たちにはわからない早さで違う言語を喋ってる。
「どんなプロポーズだったと思う? 」
そう質問返しをして、
「私が言ったら、朋ちゃんも裕くんが何てプロポーズしたか教えてくれる? 」
私も尋ねた。だって、しばらく会わないうちに裕くんが朋子ちゃんとそうなってたんだから、これは聞かなくちゃ、なのよ。
私は、義仁らしかったプロポーズを秘密ねって前置きして朋子ちゃんに話した。
朋子ちゃんも、教えてくれた。毎年、裕くんと二人で行く神社で
『結婚するかあ、朋』
裕くんがそう言ったって。そしたらその瞬間、厳かな横笛の音色が聞こえたらしい。
綿密に計画を練られたプロポーズも素敵だけど、一緒にいる時につい気持ちが溢れてしまったようなプロポーズは、どれだけ素敵か私も知っている。
「素敵ね」
そう言うと、朋子ちゃんは頬を赤くして頷いた。
「義くんも嬉しくて仕方ない感じだね。ずっとにこにこしてるもん。あんなによく喋る義くん初めて見たよ」
私も赤くなるしかなかった。それと、あれはにこにこじゃなくて、実はニヤニヤなのよ。と、教えてあげたい。
「そうだ、そうだ、朋子ちゃん。俺と裕、どっちの顔が好み?」
急に義仁が朋子ちゃんに尋ね、
「義くん」
朋子ちゃんは間髪入れずに答えた。
「……朋」
裕くんが天井を見上げて、複雑な顔をした。
「私は裕くん」
裕くんが綺麗な目を見開き、
「朋子ちゃんまで!」
と、肩をすくめた。
「義仁が根に持ってて。ごめんね、裕くん」
義仁はちぇっとそっぽを向いたくせに、肩を震わせてる。何あれ笑ってるじゃない。
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