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裕くんと朋子ちゃんが帰ると、私たちも私たちの家へ帰った。
「朋子ちゃんと何の話してたの?」
「秘密」
「そ。膝ま付いて指輪くらい渡せばよかったかなぁ」
「もう、聞こえてたんじゃない。私は義仁のプロポーズ、とっても素敵だったと思ってる」
「……ほんと?」
言われてコクンと大げさなくらい頷いた。私にとったら世界一素敵だった。
「やっと、義仁が家にいることに馴れてきた気がする」
義仁の肩に頭を乗せた。義仁も顔を擦り付けてくる。
「俺はまだ馴れない。まだニヤニヤしてしまう」
「気持ちわる」
「……法子」
「冗談よ」
義仁が動線上、どの部屋に行くにもちゃんとリビングを通る設計の家を選んだことに気付いていた。人の気配が嬉しいのだと思う。
「荷物とか考えたら六人くらいが限界かな?」
「……急に何の話よ」
「車、買いたいんだけど、子供いっぱい乗せれる方がいいよな?」
義仁は時々飛躍する。
「あのね、義仁。子供が四人いたとしても一番下の子が産まれるまで数年かかるわよ?
今から大きな車買うの早くない?」
「えー、裕のとことか、尚信のとことか合わせていっぱいでわいわいしたいじゃん」
「いいわね、義仁。賑やかで、楽しそう」
義仁はこれからを想像して、目を細めた。
「先ずは、子供つくらなきゃね」
「法子はねえ、そういうとこある」
「どういうとこ?」
「全然ロマンチックじゃない」
怒られてしまったけれど、私たちはとてもロマンチックな時間を過ごしている。
「可愛いだろうな」
「そりゃあ、義仁と私の子供だもん」
────end
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