vol.1

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俺は顔が可愛いだけじゃなく、チョロくもある。うんうん。どうでもいい。嬉しいし。 日曜だからといって、だらだらせずに自炊する!今日はアンチョビを使った料理を作りたいと思います。同じアンチョビを買ってきて、練習したのがバレないように次の土曜日に披露する。手早く掃除を済ませると、買い物に出掛けた。酒も買っておこう。あの人、すっごい飲むから。 あれ、何か従順なペットみたいだな。……いや、格好いいとこをね、見せよう。顔が可愛くて、中身は格好いい。最強じゃねえ?スキップしたいような気持ちだった。 ──── 瑞穂さんが俺のいる本社に来るのは週に1、2度。同じ建物にいるってだけなので会うことはまずない。俺はまだ研修が終わったばかりの新入社員だ。基本的にルート営業で、本部バイヤーへの一括だけど、担当店舗の売り上げ予算がある。スタッフへのプロモーションや勉強会。ほぼ女の人の中で仕事をしなきゃならない。 なるべく、均等に。なるべく、穏便に。女の人だけの職場も少なくない。非常に気を使う。若い男は何かと話題に上がりやすい。気に入らないと商品販売にも影響が出る。うちの商品が売れたら俺にも店舗にもメリットがあるわけだから、気に入られるに越したことはない。
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