vol.1

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──── 「すみません、年齢確認お願いします」 よりによって、瑞穂さんと一緒に酒を買いに来た時に店員から言われた。チラリと瑞穂さんを見ると、肩が震えてる。 未成年じゃないから買えたけど、 「やっぱり、若く見えるのね。もう5年近くしてるのにね」 「あのねえ、瑞穂さん。今は絶対聞くマニュアルになってるんだって。聞く決まりなの」 って俺が一生懸命言い訳してる横で同い年くらい(だと俺は思う)の酒を持った男性がサッとレジを過ぎて行った。 ……あの店員、マニュアルサボりやがったな。 「あはは! 今度からお酒は私が買うわね」 「いいし」 いつもは若く見られても平気なのに、瑞穂さんといる時だと恥ずかしい。んでも、いいや。逆手に取ってやる! 「瑞穂さんが、ついてきてくれたらいいじゃん」 ずっと。そうしてくれたらいいじゃん。さすがに俺もちょっとづつは老けるしさ。 「……そう、しよう、かな」 ぼそぼそそう言うと、瑞穂さんはさっさと店を出ていった。背中、背中が照れてる気がする。 「瑞穂さん! 待って、今……」 「今度から、セルフレジにしたらいいじゃない」 「うわあ、やだね。絶対に瑞穂さんに来てもらう」 俺の家へと二人で向かう。もうね、俺もかなり料理上手くなったよ。 「今日は泊まってく?」 「いーえ」 「ちぇ」 ──信じられないけれど、こんな関係ももうすぐ2年経とうとしていた。
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