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「すみません、年齢確認お願いします」
よりによって、瑞穂さんと一緒に酒を買いに来た時に店員から言われた。チラリと瑞穂さんを見ると、肩が震えてる。
未成年じゃないから買えたけど、
「やっぱり、若く見えるのね。もう5年近く大人してるのにね」
「あのねえ、瑞穂さん。今は絶対聞くマニュアルになってるんだって。聞く決まりなの」
って俺が一生懸命言い訳してる横で同い年くらい(だと俺は思う)の酒を持った男性がサッとレジを過ぎて行った。
……あの店員、マニュアルサボりやがったな。
「あはは! 今度からお酒は私が買うわね」
「いいし」
いつもは若く見られても平気なのに、瑞穂さんといる時だと恥ずかしい。んでも、いいや。逆手に取ってやる!
「瑞穂さんが、ついてきてくれたらいいじゃん」
ずっと。そうしてくれたらいいじゃん。さすがに俺もちょっとづつは老けるしさ。
「……そう、しよう、かな」
ぼそぼそそう言うと、瑞穂さんはさっさと店を出ていった。背中、背中が照れてる気がする。
「瑞穂さん! 待って、今……」
「今度から、セルフレジにしたらいいじゃない」
「うわあ、やだね。絶対に瑞穂さんに来てもらう」
俺の家へと二人で向かう。もうね、俺もかなり料理上手くなったよ。
「今日は泊まってく?」
「いーえ」
「ちぇ」
──信じられないけれど、こんな関係ももうすぐ2年経とうとしていた。
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