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「もうすっかり戦力ね」
「あ、そう? 瑞穂さんから見てもそう?」
「うん。人当たりいいからね。私の耳に入ってくるわよ」
仕事も順調で、楽しいと思えるくらいに余裕が出て来た頃だった。瑞穂さんにも褒められて、頑張って良かったなぁって思っていた。きっかけは、瑞穂さんにちゃんとしてるって事を見せたくてしてきた努力だったけれど、俺のためにもなったのだから瑞穂さんの存在は俺をかなり押し上げてくれたと思う。
まだまだ瑞穂さんには叶わないけれど……。
俺は恋人になりたいって初っぱなに伝えていたし、それからも意思表示をしてきたつもりだ。瑞穂さんに俺以外の男の陰はない。だけど、瑞穂さんにとって俺はペットではないけど弟みたいな感じなのだろうか。
俺、ねーちゃんいないからわからんないけど。いや、そもそも俺にとって瑞穂さんはずーっと女だ。
そろそろちゃんと返事を聞きたい。ひょっとしたら俺が一人前になるのを待ってくれてるのかなって最近は思っていて、だから、そろそろ……OKでないかなぁ。
「瑞穂さん、そろそろ堂々と会いたいんだけど。もちろん、こういうのも楽しいんだけどさあ」
瑞穂さんはビクッと肩を震わせた。いやいや、びっくりするなよ。何の関係だと思ってんだよ。と、思ったら無言は無言だけど、その視線の定まらない感じ、まんざらでもない顔。否定ではない無言。え!?もしかして?
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