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「駄目なの」
駄目なのかよ。がっかりしすぎて息が出来ない。結局、ずーっと瑞穂さんに恋人も好きな人も出来なかったけど、俺を好きにもならなかったってことか。
「そっか」
正直、自分でもここまで気が長いと思わなかった。なんせ結構な頻度で会ってるのにプラトニックだし。というか、瑞穂さん早々に酔っぱらうから酔っぱらいに手出すのもなぁって思って躊躇ってたのもある。
「違うの、あのね……」
「うん。悪意はないんだよね。別に瑞穂さんは思わせぶりに俺を留まらせたわけじゃないの、わかってるよ。俺といるのは楽しい。けど、結局そういう対象に見れなかったってことだよね。仕方がないよ」
「……」
わかんないんだろうなあ、この人。俺みたいなタイプをどう拒否していいか。それと、男として見てないだけで、この時間は続けたいんだろうなあ。単純に楽しいから。
だけど、そうなると俺は一体どうやって諦めたらいいんだろう。2年で好きになって貰えなかったら、もう無理なんだろうなあ。
「さ、今日も何か作るから、美味しく食べよう」
「ごめんね。横浜くん」
「あー、うん。気にしないで」
急に会えなくなるのは俺の方が耐えられなくなるかもしれないな。どうしようか。意図せずため息が出てしまって、瑞穂さんが申し訳なさそうに口を開いた。
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