vol.1

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俺が仕事を辞めるとは全く思ってなかった瑞穂さんはしばらく抜け殻になって、「自分のせいだ」と、さめざめ泣いたけど 「もう、次の仕事決めてるから大丈夫。お給料も同じくらい貰えるし」 と言うと、ほえーっとまた抜け殻になった。 「だから、俺の恋人になってください!」 「そうだ。あなた、会社で私のこと好きだって言いふらしたでしょう!?」 「あれ、瑞穂さんまでまわってるの? だって、好きなんだもん。仕方がないよね。えっへへー」 「ああ、もう! どうしてくれるのよ。結局みんなから色々言われて……」 瑞穂さんも嫌な思いはしていない、恥ずかしいだけっぽい顔だ。良かった。 「あ、そっか。ごめんね」 「軽いわよー、ちょっと!」 「瑞穂さん、返事。ね? まずは返事」 「……ううう」 「瑞穂さん!」 「よろしく、お願い致します」 「あはは! 馬鹿丁寧だ。やったぁ」 今日は泊まってく?って聞いたらまた無言だったけれど、否定ではないということで。俺のパーカーなど着せてみたら、とっても可愛かった。 「瑞穂さん、仕事を軽く思ってるんじゃないよ? そのくらい瑞穂さんが大事ってことだよ?」 「……うん」 さぁ、ご飯作ろうかな。今日はさっさと食べたいからパスタでいいかなぁ? 「手伝おうか?」なんて言い出した瑞穂さんに吹き出した。 「いいよ、ゆっくりしてて。その代わり、寝かせないから」 とか、言ってしまう。また否定ではない無言のまま、瑞穂さんは赤くなっていた。可愛いなぁ。俺より可愛いじゃない?
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