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ふっちーは入学前からバスケ部の練習に参加している。一足先に一人暮らしを始めたので、私よりちょっとだけこのあたりに詳しい。
手を繋いでぶらぶら街を歩く。この辺りは学生が多い。
「あ」
ふっちーが誰かを見つけて手を上げた。
「おう、彼女?」
「そ。おんなじガッコ」
「へぇ。宜しくね。えーっと……?」
「あ、はじめまして。石橋紗香です」
「はは、同い年だって。宜しくね、紗香ちゃん」
そう言って笑う男の子はお洒落で爽やかだ。わあ、大学生って感じ。その男の子が去って行った方を視線で追う。ふとその子が振り返り、目が合って気まずく思っていると、その子は気にすることなく
「晩飯どうする?」
と、聞いた。
「ん、今日はいいや」
ふっちーが答えると、手を上げて背を向けた。やっぱり背中を見ちゃう。彼が見えなくなるとふっちーに向き直った。
「……もう仲いい子が出来たんだね」
「あー、あいつ、津守。同じアパート」
「あ、あの人かぁ。すごい爽やかな人だね」
「……」
一瞬、ふっちーが複雑そうな表情をした。
「どうしたの?」
「あいつ、ああ見えてそうじゃないから、あんまり……ああ、いいや。お前には大丈夫だろ」
ふっちーはそこで言い淀んだ。私には大丈夫ってどういう意味だろう。ああ見えてそうじゃないって、どういう意味だろう。
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