vol.2

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カラオケ店のバイトは私と同じようにバイトが初めての子もいて、すぐに仲良くなれた。試用期間には、他店舗からの経験者が教えに来てくれていた。 この仕事を教えてくれていた魚住匡介(きょうすけ)さんは、同じ大学の二年生だった。何かとこなれ感のあるイケメンさんだ。(もちろん、ふっちーが一番) それと、私と同じ社会学部の先輩、石川真希さんとは、マンションが階違いであることも判明した。 高校の時よりも先輩たちは気さくで、壁がないように思う。仲良くなりたいって気持ちが先輩の方からも伝わる。……何これ、すごい、楽しい。アルバイトの本採用が決まるくらいに他店舗へ帰っていってしまったけど、真希さんとはマンションが同じこともあり、仲良くしてもらっていた。 真希さんは時々部屋に呼んでくれたりもした。 「うわぁ、真希さん部屋おしゃれ! 同じ間取りなのに全然違う」 「そう? 今度紗香ちゃんの部屋もお邪魔させて~」 「もちろんです!」 バイトにサークル。新しい人間関係。 大学生って感じだ。 「そう言えば、紗香ちゃん何かサークル入ってる?」 「あ、はい。全然行けてないんですけど、テニスサークルに入りました」 全然行けてなくても、人数が多いので気にする人もいなさそうだ。だけどそろそろ顔を出そうかな、とは思っていた。 「……テニス?」 真希さんの顔が明らかに曇った。
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