vol.2

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「はい。何か男の先輩が熱心に勧誘してくれて。って言っても全然行けてなくて。そろそろ顔出さないと除籍されそう……」 「人数多い方のテニスサークル?」 「……他にあるんですか?」 「テニスしてる?」 「……いえ、全然」 「直ぐにやめて!」 真希さんのあまりの剣幕に、ひっと息を吸って、後退りするとコクコクと頷いた。そして、その場でサークルをやめさせられた。特に未練はないので、やめることに対しては良かったんだけど……。 「テニスサークルとは名ばかりの出会い目的のサークルなんだよ」 「出会い。へえ。でも私、新しい人間関係求めてたので、それでも別に……」 「じゃなくて! ヤリ目的がほとんどなの!」 「ヤリ……ええぇ!? みだら!」 怖い怖い怖い!!大学生怖い!! 「そう。高校の時とかそんな軽いのいなかった? それのもっと悪いやつね。酔わしたり。でも、女子でもそういう子はいるからね。合意なら誰も何も言わないけど」 そんな世界があるなんて、私はふっちーしか知らないからポカーンとしてしまった。 まわりの友達は、工藤とか朱里とかだし、私よりピュアな位だ。 「……なんて、いかがわしい!」 「あはは! だよねえ。はあ、びっくりした。ちょうど何も知らない1年生なんていいカモだよ」 「熱心に勧誘してくると思った!」 「紗香ちゃん可愛いからね」 熱心に勧誘してくるのも下心だったなんて。すごく、いい人そうだったのに……。
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