vol.2

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もやもやする気持ちのまま家にいても、悪い方向に考えるだけだ。時計を見ると、あと1時間くらいは店が開いてる。よし! 私はそのまま買い物に出掛けた。今日、真希さんが見せてくれたコーディネートを思いだしながら、数着、いつもと違うワンピースやスカートと、メイクコスメなんかを買った。思えば、一人で 買い物も来たことなかった。ふっちーの予定に合わせて、ふっちーの好みを考えて……。頭の中はふっちーのことばっかりだった。 そして、ふっちーをドキドキさせたくてスカートやコスメを買ってるんだから、成長なんてしてない。 わたしの『campuslife』には、ふっちーが必要不可欠で、それがなくなったら、何をして過ごしていいかわからなかった。 今日は、一つくらい自分の為にバイト代を使おう。(自分の物を買ったのにふっちーの為とか、おかしなもんだ) 美味しいものでも食べて帰ろう。 ──って、夕食にケーキってどうよ。そうは思っても何も食べる気がしなくて、目についたのがケーキが美味しいと有名な店だった。夕食時だし、ケーキの店は混んでない。この店に並ばずにはいれるなんて、こんなチャンスは滅多にないかも。 いっか、今日は特別!そう思って中に向かって一歩踏み出した時だった。 「紗香ちゃん……」 そう声をかけられて振り向いた。そこにいたのは、今日断ったばかりのサークルの先輩だった。
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