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その人は、テニスサークルに熱心に勧誘してくれた人だった。
「一人?」
「え、はい。北山さんは、お買い物ですか?」
「うん。ちょうど紗香ちゃんと話がしたいと思ってたんだ。一緒にいい?」
北山さんはそう言うと、私が一人で入ろうとしていたカフェ入って行った。
しまった。誰かと待ち合わせって言えば良かった。一人で入ろうとしていたとこを見られたので、今さら断ることも出来なかった。仕方がなく、北山さんの後ろに続いた。大丈夫、だよね?
「奢るし、好きなの食べて」
そうは言われても、楽しみにしていたケーキにもテンションが下がってしまう。自分のお金でいいから美味しく食べたかった。定番のいちごのケーキとミルクティーを頼むと、北山さんはコーヒーだけを注文した。
「サークル、何でやめちゃうの?」
そっそく切り込んでくる。
「なかなか参加出来なくて、友達も出来なかったですし、テニスのルールもわからないし、誰も教えてくれないし、テニスしてるのみたことないし、思ったのと違うなって思いまして」
つらつらと言い訳を並べると、北山さんが笑った。
「はは、尋問してるんじゃないよ。ゆるーいサークルだし別にやめなくても、参加したくなったらしたらいいんじゃ? て、思ってんだけど」
あー、ゆるいのは、下半身では?とか言ったら怒られるのかな……。
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