vol.2

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「高校からずーっと付き合って、他の人見たいと思わないの? なーんか、世界が狭いってかさ」 真希さんとは違う、嫌な言い方にムッとする。 「思いません」 「そっかぁ。そうかもしれないね」 「……違うってことですか?」 もう気を遣わずに言い返した。 「はは、ごめん、ごめん。紗香ちゃんの彼氏は知らないけど、一般論だよ? 大学までついて来られたら、うざいかも。付き合いも3年て、そろそろ飽きてくるし、重い。高校生とは違うじゃん。高校生なんて子供って感じだし。大学ではいっぱい楽しいことあるしさ、自由だし、せっかくだから色んな人を見たいと思うな。だから紗香ちゃんだって、恋愛抜きにしても、知り合い欲しかったんでしょ? 男の場合はその新しい出会いが余計に新鮮に映るんだよ」 「彼は、そんなんじゃ……」 「そう? 大学入ると価値観変わるしね。ま、追いかけて来たのに疎遠になったら、むなしいね。頑張って! サークル、関係なしで、たまには違う男見るのもいいよ。俺とも遊びに行こうよ。ね?」 こんなにムカつく『頑張って!』は初めて言われた。 「大丈夫です」 「あれ、怒った? 案外、図星だったりして」 「……大丈夫です」 「そう。それなら良かった。あ、紗香ちゃん、メイク変えたんだね。大人っぽくて可愛いね」 「……どーも」 店を出ると、ご飯食べようと言われたけど、断った。そしたら送ると言われ、帰る方向は大学の最寄り駅なのだから、北山さんと一緒だ。だけど、絶対に家を知られたくないので 「彼氏の家に行くので」 と、ふっちーのアパートの方向へ向かった。北山さんの姿が見えなくなると、自分のアパートへと方向転換した。
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