vol.2

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バカだなぁと思ったのは、翌日になってのことだった。 スカート、ワンピース、コスメ。バイト代が入って調子に乗って買ったものの、今月の生活費を考えると余裕がなくなってしまった。 ふっちーの誕生日プレゼント代ないじゃないかぁ。ほんと、バカじゃないの、私。せっかく1日一緒に過ごせる誕生日なのに。使ってどうする。 そんな私のピンチを救ってくれたのは、バイト先にヘルプに来てくれていた魚住さんだった。 「もうすぐ彼氏の誕生日なんですけど、プレゼント何がいいと思います? 彼氏に聞いても『べつにいい』とか言うタイプなんです」 「へえ、何でも嬉しいけどね。彼女から貰ったら」 100点の答えだけど、 「いや、そういうのいいです。本当に知りたい」 「はは。じゃあ、俺が欲しい物と、買って良かった物を言うね。スニーカー、バッグ、服、スマートウォッチ、フライパン、イヤホン、スピーカー、たこ焼きも焼けるホットプレート」 「おお!」 どれが魚住さんの欲しいものか、買って良かったものかわからないけど、いいかも。 「そういえば、予算は?」 と、聞かれて正直に言った。 「それ、実はバイト代考えなしに使っちゃって……」 「ああ、じゃあ特別な時間を過ごす。例えばご飯作って、一緒に食べるとかでも十分だけどなあ。あと、ケーキ」 「魚住さん、見かけに寄らず、良い人ですね」 そんなので喜んでくれるなんて。
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