vol.2

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はあ。一人になるとため息をついた。工藤(たぶん、ニブイ)だって気づいたんだぞ? 気づいて欲しい人ほど、何も言ってくれない。嫌になる。 夕ごはん、いつも女子と食べてるのかなあ。いいなあ、同じアパート。 ハンバーグだってさ、美味しく作れる気がしない。うまく作れても、津守の作った方が旨かったなんて思われてたら嫌だもん。それでもきっと『紗香の作った方がうまい』なんて、気を使って言うに決まってる。 工藤とふっちーはほぼ同じ生活してるのに、何が違うんだろう。 気持ち。きっと気持ちが違うんだろう。 ふっちーは、私がねだらなかったら、キスしてくれなかったと思う。ヤリモクのサークルがあるくらい、大学生の性欲は莫大なんだと思う。バイトの友達だって、彼氏が毎日したがるって言ってた。それだけで嫌になるとか愚痴ってた。途中でのろけに変わったけど。でもだいたいの子が会えばするって言ってた。 ふっちーは淡白なタイプではない。なかった。この環境で身体さえ求められない私って何なんだろう。キスさえ躊躇われる彼女って、何なんだろう。 誕生日、楽しみなのは私だけなのかな……? 心はどんどんしぼんでくるっていうのに、私はスマホでホットプレートを探していた。 次のバイト代が入ったら買おうかな。ふっちー、喜ぶかな。うちにあれば、ご飯食べにくるかな?なんて……。
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