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「身体ばっかりだって思われたくなかったみたいね。それで、逆に私が飽きられたのかなって寂しくなっちゃって」
「で、どうしたんですか?」
「『女にも性欲はある!』って言った。だって、向こうがしたいからするもんじゃないでしょ。同意ってそういうことでしょ」
「……カッコいい!」
「はは! ぶっちゃけちゃった。秘密ね」
真希さんは笑ったけど、そうか、私から誘ったっていいじゃん。
「嫌な時は嫌って言うしさ」
「あ、そっか、そうですね」
ふっちーに嫌って言われたらどうしよう。
「うん、頑張って! もうすぐ彼の誕生日なんでしょ? ドキドキさせちゃって、惚れ直しさせちゃえ!」
惚れ直す?そんなことが出来るのかな。わかんないけど……
「頑張ってみます!」
真希さんにお礼を言うと、エレベーターへと向かう。
今度は夕方から魚住さんとの約束があった。来週から始まる短期バイトの詳細を聞くことになっていた。一旦部屋に帰ろう。と、開いたエレベーターに乗ろうとすると先客があり、その人が下りるのを待った。
「「……あっ」」
そこから下りてきたのが、まさに魚住さんだった。
「え、どうしたんですか?」
「……あー、紗香ちゃんとの約束まで時間があったから、彼女んとこ寄ろうかなって……」
バッと後ろを振り返った。そこにドアは一つしかなかった。
「ええ!? 真希さんの彼氏って魚住さん!?」
確かに、同じバイトだった。さっきの会話が急に生々しく感じて、私は顔を赤くしてしまった。
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