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ふっちー!
じゃ、なかった。「はい」と、がっかりした気持ちで電話に出た。
────
人手が足りないと言われ、私はバイトへと向かった。一人で悶々としてるより、その時間にお金を稼いだ方がいい。
オーダーのドリンクを部屋に運ぶ。
「失礼します。ドリンク……」
ハッと息をのんだ。
そこにいたのは、友達と楽しそうにしているふっちーだった。さっと視線を走らせると、工藤はいない。メンバーの雰囲気的にバスケ部ではなさそう。私の知らない友達だ。
私には気付きもしない。わざとじっと見てやると、やっと目が合った。パチパチっと瞬きしたふっちーが何か言う前ににっこり笑顔をつくると
「ごゆっくりどうぞ」
そう言って、部屋を出た。
やっぱ、練習はもう終わってんじゃん。私にはなーんの連絡もないけど。
私が部屋を出た後、笑い声が聞こえた。何か盛り上がってる。少なくとも『さっきの、俺の彼女』なんて、言ってないだろうなあ。
バイトが終わると、帰り待っててくれてたりしないかと考えてしまって、落ち込むことになった。待ってるわけないよね。
じゃあ、メッセージの一つでも入ってるかと思ってスマホを確認する。……入ってない。あーあ、期待するって辛いな。彼女でいると期待しちゃうもんな。いや、期待していい立場だよね?
『バイト終わったよー。友達?楽しそうだっ』
打ち掛けたメッセージはカーソルを左に動かして消した。私からは連絡しない。ムキになってそう思った。
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