vol.2

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「あと、同じアパートの津守もこのサークルなんだけど、あいつは滅多にこない」 「出不精だから」 「出不精だからね」 二人が津守くんと親しそうにそう言い合っていた。本当に、アパートで仲良しなんだ。いくらかは、またほっとする。 私たちが話していると、別のグループの女の子が来て、菜月ちゃんにパンッと顔の前で手を合わせた。 「菜月、ほんっとありがとう! 」 「え、はは。いいよ、いいよ。うまくいったの?」 「うん。おかげさまで。ありがとう! 今度絶対にご飯おごるから!」 「もう、いいってば」 菜月ちゃんが、手を横に振って遠慮すると、その子はもう一度「ありがとう」と言ってその場を離れた。 「菜月、ほんっっとに良かったの?」 芽以ちゃんが、訝しげに菜月ちゃんに詰め寄った。 「もう! 本当だってば」 「でもさぁ、あの子だって……」 「芽以! いいの。本当、何とも思ってないから」 「……そう? ね、今度は絶対譲っちゃだめよ?」 「だから、好きじゃないから譲っただけだってば」 二人の会話を聞いていいのかもわからず、私は視線をさ迷わせた。……何の話だろう。それに芽以ちゃんが気づいたのか、 「ごめんね、紗香ちゃん。菜月、気使いすぎて、腹立っちゃって」 「使ってない」 「そんなこといって、気に入ってたの知ってる」 「いっか。って、思えるくらいだったの!」 菜月ちゃんが、そう言うと、芽以ちゃんがため息をついた。それから 「紗香ちゃん、これからサークルで仲良くしたいから聞いといて。菜月はこんな性格だから」 と、話し始めた。私が聞いていいのだろうか。菜月ちゃんは、「もー」って、苦笑いした。
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