vol.2

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5日間の短期バイトは全然違う世界を経験出来た。メイクもバッチリしなきゃならなくて、髪も上の方で束ねて、別人になったみたいだった。圧巻されるノリだったけれど凄く楽しかった。 そこに北山さんがいて、「ちょっとくらいいーじゃん」って、お酒を飲まされそうになったのが嫌だったくらいで、あとは癖になりそうなくらい胸に響く空間だった。生バンドってすごい! ちなみに北山さんは『キョースケ』が弾圧してくれた。ぷぷぷ。二人は微妙な顔見知りらしく、どうやら北山さんみたいなタイプは魚住さんみたいな人は苦手らしく、大人しくなっていた。ザマーミロ。 「ああ、楽しかった!」 バイト最終日の帰り道、魚住さんが家まで送ってくれた。(いや、魚住さんは真希さんちに行くだけとも言う)まあ、私を送るのはついでだ。 「そりゃ良かった。俺、あいつきらーい」 北山さんのことを言う魚住さんに吹き出した。 「でしょうね」 「うん。災難だったね、紗香ちゃん。あいつに目つけられるとか」 「ぜーんぜん、『キョースケ』のお陰で大丈夫!」 「はは」 5日間の癖で時々ホントにこう呼んでしまいそうで困る。 「ありがとうございました! 楽しかったし、稼げちゃった」 「あ、そっか。誕生日、楽しみだね」 「……はい」 「あ、そうだ。俺のイヤホン1回聴いてみる? 真希んち置いてるし」 「見たい! いいですか?」 「うん。すぐに持ってくる」 「はーい」 魚住さんは真希さんの部屋がある上の階にあがっていった。
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