vol.2

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────…… ────数時間前。 「なあ、雅紀ー、お前の彼女、大丈夫?」 「……は? 何が」 同じアパートがきっかけで仲良くなった津守にそう言われて、眉を寄せた。 「夕方、見かけたけど、めっちゃ化粧濃くなってね? 結構びっくりした。で、何か男といたぞ。サークル、やめてないんだろ?」 「……大丈夫、だと思うけど」 大学に入って、しばらくはそんなことなかったと思う。バイトとか、サークルとか入り出した頃から紗香は少し、変わった。良いか、悪いかで考えると、俺は単純に良いと思ってた。 『大丈夫』そうは言ってみても気になる。今日は短期バイトって言ってた。濃い化粧?男といた?俺はには『バイト』だって、言ってた。嘘なんてつく奴じゃないと思う。何より、俺のことが好きっていうのが全身から出てる奴だし、疑ったことはない。疑いの『う』の字すらない。バイトだって、たぶん俺の誕生日に張り切ってるだけだろう。 ……ただ、最近の紗香に感じる変化、違和感。それが気のせいだと言い切れない気がしていた。 「帰る」 「おー」 ここのアパートのやつらはいつもこんな感じで誰かんちに集まったり、帰ったり、適当。俺は数人集まってた家から出て、紗香のマンションへと向かった。もう、帰ってるだろうか。
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