vol.2

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色んなパターンを考えてみたけど、どう考えてもクロだった。 あんな夜遅くに男を部屋にあげるのはナシだろ。 ──紗香が入ったサークルは下心丸出しのテニスとは名ばかりのイベントサークルだった。そこの先輩つながりでバイトってことは、もうどっぷりはまってるのか、俺とは感覚が違う。 紗香がサークルに入ってしばらくした頃、 「彼女、サークル入ったんだ。良かったじゃん」 津守にそう言われて 「そうだな」 って言った。実際、ほっとした。紗香は紗香で「楽しい」って言ってたし。だけど、テニスサークルだって言ったらみんなの顔色が変わった。 「ヤバいヤバいヤバい、それ、ヤバいって、それ、テニスサークルだけど、テニスなんかしない通称ぺ○スサークルって言われてるヤリモクサークルだぞ? すぐやめさせろよ」 そう言われて、言い得て妙。って、マジか!ってなったとこだった。でも紗香は楽しいって言ってたし、変な奴ばっかりじゃないのかとも思ってた。 確かに、メイクとか変わったし、俺の知らない服も増えた。でも…… ── それが、そのサークルの先輩とやらを部屋に連れ込むとは……。サークルを止めろって言うつもりだった。そんなの嫌だし、心配だし。信じてたし。最後、のつもりで聞いた。 「……サークル、楽しいのか?」 紗香は、今度も「楽しい」って言った。それが楽しいということなら、俺とは離れて欲しいと思う。何か、もうダメだ。
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