vol.2

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部活の人たちにも、バイト先の人たちにも、アパートの人たちにも、紗香とは高1の時からの付き合いで、一緒の大学に来たと言うと、からかわれたり冷やかされたり、それが真面目ーだなんて、ちょっと子供ぽいみたいに、嘲笑されてる気がしてあんまり話したくなくなった。工藤も同じだけど、全然気にして無さそうだった。 特にバイトの先輩には「へえ、一人しか知らないんだ」みたいに言われて、ハッキリ言って不快だった。 そういうの、何か問題あんのか?滅多にシフトが被らないからそれ以降は気にしてなかったが、俺はこの……北山という男が嫌いだった。何かと嫌味ったらしい。褒めてるようで下げてくる感じ。 「へえ、モテそうなのに」 ニヤニヤそう言って、言葉じりに(笑)(かっこ笑い)をつけてくる感じ。いちいちウケるとか草とか言ってて、笑ってんのはそいつだけだ。不快。マジでうっとおしい。 「やっぱ、こんだけ女いるんだし、他も見たくないの? 世界狭くね? まだ高校生気分?」 「はあ、まあ」 そんな急に切り替えないだろと適当に流す。 挙げ句、「すぐデキる子、紹介しよっか?」と、言ってくる始末。 「いえ、大丈夫です」 「お前の彼女はどうだろねー、他の男見たいんじゃない? せっかく大学来たんだしさー。浮気はどうかと思うから一旦別れてさ、その間に遊んでー、向こうが惚れてんなら、いつでも戻れんじゃん。ね?」 「はい」 「あー、『はい』っつった? なーんだ、やっぱ、遊びたいんじゃん」 「……ああ、聞いてなかったです。何ですか?」 「……チッ」 いやいや、何の舌打ちだよ。
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