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ある日。
「大学入るとみんな化粧するよな。知ってるか? 18歳以上の女子のブス率って一気に下がるらしいぞ」
「わぉ、化粧って偉大。素っぴんヤバいやついるもんな」
「みんな色気づくからなー。男子も大学デビュー多いわ。受験終わって一気に弾ける。バーン! だいたいが恋愛脳。やることばっかり」
バイトのメンバーとカラオケに来ると、誰かがそんな事を言った。確かに、誰かしらずーっと女の話をしていた。
紗香は、化粧してなくても可愛いけど、そんなもんかね。紗香は紗香で大学生活を楽しめばいいと思いながらも、紗香が変わるのが嫌だったのかもしれない。
視線を感じて顔をあげると、紗香がいた。
……え、バイト、カラオケだったのかよ。ホールスタッフって、飲食店じゃないのかよ。驚いてると、「ごゆっくりどうぞ」なんて他人行儀に言って出ていった。
「今の子、可愛い」
「思った!」
「もっかいドリンク頼む!?」
「え、誰か連絡先聞けよ」
「制服のスカート、もうちょい短けりゃいいのにな。ドリンク置くときこっちから見たら……」
聞いてられなくて、ヘッドロックした。そこでさすがに俺の彼女だとは言えなかった。
その後も合間合間に紗香に声かけるとか何とか言うから、我慢出来ずに
「俺の彼女」だって、言った。お陰で今度はヘッドロックされた。
あいつ、可愛いよな、やっぱ。今日もしっかり化粧してたけど。
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