vol.2

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────…… いつからだろう。 何でこんなことになったんだろう。 いくら考えてもわからない。紗香に会うのは俺の誕生日が最後になりそうだ。だけど、何で俺の誕生日を楽しみだって言うんだろう。そっちの男へ行けばよくないか?あくまで、浮気ってことか?色んな男を知りたい? 俺の見てきた紗香はそんな子じゃない。『俺に夢中』揶揄じゃなくて、回りがそう言うくらい、俺もそう思ってた。 あのサークルに入ったくらいからおかしくなってきた。ヤバい。自分でもどうにもならないくらいキツい。こんな仕打ちがあるだろうか。 そこからは散々だった。バスケもバイトもミスしまくりで、怒られまくった。ニヤニヤしてくる北山を殴らなかっただけマシだとは思う。 ──気づけば、誕生日当日になっていた。最悪な誕生日。せめて、ちゃんとそうなのか、何でなのか紗香に聞くつもりだった。 紗香は目一杯めかしこんで迎えてくれた。……タバコの香りはしなかった。代わりにホットプレートにハンバーグが焼けていた。サラダとスープと、あとケーキも作ったって、嬉しそうに言う。 一人暮らしするまで、まともに料理もしたことなかった紗香だから、相当時間かかったと思う。何も知らなかったら、嬉しかったと思う。だけど、この日は油断したらため息が出そうだった。 食べ終わると、プレゼントを渡される。 「あのね、サークルの先輩に何がいいか聞いて、ふっちーの喜びそうなの選んだんだ。ね、開けてみて?」 サークルの先輩……って、あいつ?あいつと選んだってことかよ。嬉しそうにしてる紗香に、ブチンと何かが切れた。わかってる。紗香がこれ買うのにバイトしてくれたことも、でも、我慢出来なかった。 「いらない」 紗香の驚いた顔が見えてるのに、止められなかった。
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