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不届き者 その1
その日も相変わらずくだらない会話をしていた。委員長の仕事がどうとか弁当がどうとか
まあ反吐が出るぐらいくだらない話だ。そんな日だからこそあの事件はやたら俺を誘い込んだのかもしれない
誰かを助けるという深淵へと
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帰り道の事だった。一人の警察官が目に付く
誰かの自宅で何かを撮っている
「邪魔しちゃ悪いよ。行こ」
海都はそう言っても何となく俺はそこから離れられ無かった。正義とかそんな大袈裟なもんじゃ無く本当に何となく
「ごめん、先行ってて!すぐ行くから」
「え、うーん………」
海都はその澄んだ瞳で俺の瞳を見た。久しぶりに見た複雑な表情だ
「分かった。あんまり迷惑かけないでね!」
「すまん………」
「さて」
「あの………ここで何かありましたか?」
首を傾げて、スマートフォンと睨み合いをする警官に柄にも無く柔らかく話しかけてみる
「あ、ああどうも。高校生かな?」
「はい、雁野高校の一年生です」
数秒間の沈黙
「……実はこの家にゴミが不法投棄されてる
のを目撃してね。ちょっと調べてみてるんだ
」
「不法投棄?何でこんな場所で?」
警官は唐突に右斜め上辺りに視線を移す
「ここらには防犯カメラが少ないんだよ。しかも人の通りも少ないときてる。これは中々厄介になるね」
「あー……」
確かにこの辺りは街の外れでも無いが、人通りは少なかった。どのぐらい少ないかと言えば例えば海都が突如、大声で歌いだしても誰の笑い声もしない。厄介と言うよりはめんどくさいって感じか
「とにかくこれじゃ情報が少なすぎる。俺も調べてみるが、何か分かったら教えてくれ」
「はい」
警官は現場の裏側へ歩いて行った。名前を聞きそびれてしまった事に気が付いた時には俺も自宅に帰って来てしまったらしい
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