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手と手が触れ合った瞬間、ふわりと身体が浮いた。
「わわっ」
「大丈夫。――俺は、手を離したりしない絶対に、だ」
美しい夜空を飛べる日がくるなんて、一体誰が想像しただろうか。青年の言葉にどこか引っかかりを覚えたものの、そんなものはすぐ忘れてしまった。
夜風が頬を撫でていく。
見下ろせば、淡い街灯りが続いている。
「……きれい……」
「だろ? お嬢さんが思うより、世界はずっと綺麗なんだ。そう、人が描いた夢のように。どんな夢も美しいんだ」
「……あなたにも夢があるの?」
静かな問いかけに青年は困ったような顔をし、結局目的地に着くまで無言のままだった。
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