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美しい人
夕方、衝動買いしてしまった蜂蜜色のコットンワンピースを着て、ふらっと散歩に出かけた。
ひぐらしが鳴いている夕暮れの町を歩いていると、大きなスーツケースと大量の紙袋を持って階段を登ろうとする女性を見かけた。
遠くから見た時には伸びていた背筋や服装から30代くらいだろうと思っていたのに、近づいてみると40代後半くらいの顔をしていたので驚いた。
「大丈夫ですか?」
と声をかけると、女性は女優帽の影から瞳を覗かせた。
「まぁ、こんにちは」
大輪の花が咲くような笑顔という言葉は、まさにこの人のためにあるのではないだろうか。
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