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チャンネルリスト 「拒絶」
「ハルチ、煙草」
「ああ……」
声と共に、予想外の力に有無を言わせず引っ張られる。何事かと思いつつ肩をホールドしている腕を辿って顔を見ると、予想通りの男がいた。
シン、と呼ぶと、「連絡無視するなんてひどい」と笑われる。
この間起こった朝佳との一悶着のことは、さすがに慎之介も忘れていないらしい。苦笑して腕を払うと、わざとらしく泣きまねをかまされた。
「帰っていいか」
「いやいやダメでしょ」
一応聞いてみて、そりゃあそうかとため息を吐く。久々に出逢ったような気がするが、実際には二日ぶりだろう。
今度は勝手に腕を組み直されて、鳥肌が立った。
こいつホモか。シラケた目で見ると、勝手にウインクされた。お前はキホか。
面倒に思いながらも、慎之介に従って一階の喫煙室に駆け込んだ。
中には数人の男女がいた。ぼんやりと観察していると、目の前に良く知った派手な髪色の男が現れた。
「おお? ハルチじゃん」
「いや、俺もいるからね」
喫煙室で煙草をふかしている謙太郎に慎之介が呟く。それに謙太郎が笑って、「ああ、慎之介、いたのか」と言葉を返す。
わかっていたくせに、面倒な茶番だ。
「ひでえ。俺の扱いよ」
「わかる。俺も常々ハルチに思ってるね」
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