フレンドリスト 「キホとカンナと本命」

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なぜそうなるのだろうか。 疲れ果てた上に、ついさっきまでの茶番に付き合った自分があほらしくなった。 ただ時間だけがいたずらに過ぎている。 1時間程度で帰れると踏んでいたが、現時点ですでに2時間が経過していた。朝佳はまだ眠っているだろうか。これで消えていたら、あまりにもクソすぎる。 「ハルチ、こんなのでどう?」 わけもなくキホと向き合っているところに、カンナの声がかかる。 選び終わるのが、随分早かった。思いながら後ろを見ると、何枚かのルームウェアが揃えられていた。 3枚のパターンを前にして、一番右を指差した。 「これ買うわ」 チャコールグレーのそれは、ワンピースタイプの部屋着だった。一番朝佳にしっくりくると思って指定すると、両隣りにいた二人が黙った。 なぜ黙るのかわからないが、これでここにいる用はない。会計を、と言うとカンナが動作を再開して俺が選んだルームウェアを手に取る。 ルームウェアを見つめているキホに待っているように伝えてレジへ向かうと、既にカンナが購入品を袋に入れていた。 「忙しいのに悪かったな」 カードを出しながら告げると、カンナが首を横に振った。
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