フレンドリスト 「キホとカンナと本命」

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断定的に呟かれてまた笑いそうになった。 確かにそうかもしれない。3つ、候補を出されたとき、明らかに俺の好みとカンナの好みのものが入っていた。そのどちらでもないものを選んだ時点で、カンナは何かを察していたのかもしれない。 「別に、彼女ができたならそう言えばいいのに」 「だから、できてねえって」 「うそ」 「彼女じゃねえよ。俺が勝手に付き纏ってんの」 面倒になって答えると、信じられないものを見るような顔をされた。 俺のダサいストーカー行為が、そんなにおかしいだろうか。心の中で一人思いながら、コンクリのタイルにシューズを擦らせて、レジ台から離れた。 後ろからついてくるカンナが「どういうこと?」と聞いてくるが、もうそれに応える気はなかった。これ以上話したところで、どうにもならない。 「キホ、待たせた」 「はぁい」 退屈そうにメンズもののティシャツを見ていたキホが、俺の声に従ってこちらに歩んでくる。それを見ながらもう一度カンナを見遣った。 「世話掛けたな」 「ちょっと、私の質問に答えてよ」 「また今度、な」 「ハルチが片思いって何? 気になりすぎて仕事できない」 「それは俺の責任じゃないな」 「ちょっと、真面目に答えて」 「え、何話してるんですかぁ。キホにも聞かせてください」 「店員さんの爪が可愛くて俺好みって話」
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