フレンドリスト 「間宮朝佳と38度7分」

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意味なんて解らなくていい。だから、とにかく俺の手から逃げないでほしい。気まぐれにでも、ここにいればいい。 一人で必死に立っているその横で、倒れそうな朝佳を何とかしてやりたい。もう二度と、朝佳の悔し涙を流させたくない。 「わかった……。ここにいるから、その代わりに春哉があっちで寝て」 「あ?」 「春哉の方が体、大きいんだから。あっちで寝た方が良いでしょ。家主だし。私は適当に、この辺で寝てるから」 「ダメだ」 「なんで」 「病人をソファで寝かせる人間がどこにいんだよ」 「ここにいると思ってるんだけど」 「マジで失礼だな……。俺がここ、お前がベッド。はい決まり」 「決まってないし」 「家主に従え」 「じゃあ帰る」 「ああ?」 大体、朝佳が眠った後のベッドで眠れない俺は、最初から寝室で寝るという選択肢を持っていない。 また原点に戻った会話に頭痛を感じながら、どうしたものかと思う。 負けじとして俺を見つめている朝佳の瞳に、思考は眩んでばかりだ。どうしてこんなにも触れたくなるのだろう。相変わらず体調の悪そうな顔を見て、最終手段を思いつく。 「わかった。じゃあ、先に寝た方が寝室に行く。これでどうよ」
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