フレンドリスト 「間宮朝佳と38度7分」

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勘弁してほしい。俺を揺さぶって、楽しんでいるとしか思えない。 ちらりと朝佳の顔を観察して、真っ直ぐに前を見つめている朝佳の頬に赤が差しているのを見た。 それが熱によるものとは思えなくなっている俺の頭が異常だ。いかれている。全て、朝佳のせいだ。 「俺の事弄んで楽しんでる?」 「はあ? アンタがやれって言ったんでしょ」 適当に呟くと、いつもと同じように呆れた朝佳の声が飛んだ。 じっと、朝佳を見つめる視線に、朝佳の視線がぶつかる。また今日も不機嫌そうだった。 いつになったらこいつは寝てくれるんだろうか。 一人、心の中で思うくせに、このままずっと、ここでクソみたいな会話を繰り広げていたいような気がしている自分がいた。 「ああ、そうだったな」 呟いて、小指に絡まっている指先を奪った。 なぞる様に繋ぎ合わせて、五本の指を絡めあわせる。何も考えずに、ただ理性を手放した。 簡単に指先が絡まって、少し引かれかけた朝佳を指先を逃さずに握った。 朝佳の手は少し熱い。それは、熱によって体温が上がっているからなのだろうか。 ぶつかったままの視線の先で、朝佳が言葉を詰まらせている。
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