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フレンドリスト 「モノローグ」
人生とは飽和だ。
いらないもので溢れかえって、捨てることすらままならない。
生きているのは死ぬのが面倒だからで、死ぬための行動を起こすのが怠いからで、生きている方がよっぽど惰性で簡単にできるからで、今自分がここに存在している理由など、特になかった。
つまりはどちらが面倒かを考えた時、僅差で生存が勝っていただけの話だ。長いこと生きながらえてしまったくせに、自分の中に残っているものはそれだけだった。
幸も不幸もない。そんなことを考えられる人間は、おそらく暇なのだろう。残念ながら私は暇じゃなかった。ただ、それだけのことだ。
ふざけた口説き文句で誘う癖に、いつだってあいつの視線は鋭利に抉ってくる。その視線とぶつかると目が逸らせないなんて、一生言いたくない。
あいつが不敵に笑いながら手を差し伸べる。その手招きに、いつだって触れそうになる自分が、恐ろしい。
馬鹿じゃない。気持ち悪い。最低だって罵って、それでも抱きしめられるたびに、声にならない声で叫んでいた。
そんなこと、永遠に教えてやらない。
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