見知らぬ同居人

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大学進学と同時に憧れの一人暮らしを始める事にした。 大都会東京での一人暮らしに興奮は止まらず、部屋を決める時も3LDKの広めの間取りを選んだ。 家賃は東京ということもあり、高いと思っていたのだがいわく付きの物件らしく思ってた倍以上安かった。 そんな訳で生まれて初めての一人暮らし、憧れの大都会東京でのマイルーム、初めて見るので期待で胸がいっぱいである。 管理人さんから貰った鍵を差し込みいざ入る。 すると何やら音が聞こえてきた。 僕自身は最初「あぁ隣の家が煩い人なのか」ぐらいにしか思っていなかったのだが、グツグツと近くから聞こえる。どうやらキッチンからするらしい。 心無しかどこか家庭的ないい匂いが漂ってきた。 最初に言われたいわく付きの物件だということを思い出し、恐怖に震えながらもキッチンに向かう。 そこに居たのは鼻歌を歌いながら煮物をにる女の後ろ姿だった。 黒く手入れの行き届いた長い髪、断片的ではあるが服や隙間から覗かせる白い肌、そして足首から先が彼女には無かった。 あまりの恐怖に「うわぁぁぁ」と声を出し倒れてしまったのだがその姿に気がついた彼女は 「どうしたの?ご飯にする?お風呂にする?それとも、わ、た、し?」 なんて色っぽい声で言ってきた 「まず誰だよ!」 驚いた声よりも大きな声が出た 憧れの一人暮らしの部屋にいたのはやけに家庭的な幽霊で開始数秒で僕の理想は粉々に砕け散って行った
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